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光ネットワーク導入事例 「ビル設備監視システム」
幹線を4心テープ心線収納のSZ撚テープスロット型ケーブルに集約し、省スペースを実現しました。
  品川駅東口を出て左手を望むと、ビルとビルの間に真新しい総ガラス張りの建物が見えます。昨年10月に竣工した「ソニーシティ」。ソニー生命保険(株)が建築した、ソニー(株)の本社オフィスビルです。
壁面全体にわたって施されたすじかいが目をひきますが、この耐震構造は、ビルに込められた先進的な設計思想と技術のごく一端。防災、セキュリティ、電源、熱源、空調、照明など、ビル設備のさまざまな部分に先進技術の粋が集められています。
多岐にわたるビル設備ですが、それらの動作状態を常時監視するシステムを構築したのが高砂熱学工業(株)。そして、高砂熱学工業は、空調の心臓部となる熱源機械室も構築しました。 ビル設備が最先端なら、設備を監視するシステムも最先端。「監視システムの配線では初めての試み」というそのネットワークについて、高砂熱学工業の真田聡男様と片山健一郎様にお話をうかがいました。
監視システムのモニタが集まる防災センター高砂熱学工業(株) 電気・計装・通信技術部 技術二課 主任 真田聡男 様 高砂熱学工業(株) 電気・計装・通信技術部 技術二課 主査 片山健一郎 様
オーテムシステムの上で、各種監視システムが動きます。
──ビル設備の監視システムというのは、一般には馴染みの薄い世界です。まず、概要を教えていただけますか。
真田 そうですね。裏方の世界ですからね。実はビルというのは、いまや巨大な機械のようなものです。電源と照明、熱源と空調、換気、給排水、昇降機、防災、セキュリティ、そして情報通信、さらにはブラインドなどの設備が休みなく稼働しています。それらの動作状態を常にモニターし、コントロールする必要があるのです。このビルの場合は、地下にある防災センターに情報を集めて監視しています。
──それは、ひとつのトータルシステムなのですか。
真田 うーん、難しいですね。防災センターで束ねている部分は一元的なシステムになっていますが、各設備はそれぞれ自律的に動いています。
片山 各設備の技術は、それぞれ別々に発達してきましたので、それを監視したり制御したりするシステムも別々です。通信のプロトコルから違いますから。で、そのままだと、設備ごとにサーバを置いて系統の異なるシステムを個別に構築しなければなりませんし、設備間の情報のやりとりもできません。そこで、ベースとなる中央監視部分のシステムはBACnet※1というオープンなプロトコルを使ってつくり、そのプラットフォームの上に、空調、セキュリティ、ブラインドなどの各監視システムが乗るようにしています。
防災センターのMDFの光パネルには、[Y-OP2]が備われている。
──そのオープンシステムも、高砂熱学工業さんで構築したのですか。
真田 はい。今回の当社の工事範囲は、監視システムのプラットフォームとなるオープンシステムと、空調機にエネルギーを供給する熱源のシステム、それと、各フロアで動いている空調機の監視システムです。
──フロアの空調機は担当されなかったのですか。普通は、熱源と一緒に工事しますよね。
真田 ええ。ただ、今回のような大規模な案件では、分担施工することもあります。
──空調機の監視システムは、オープンシステムの上で動いている各種の監視システムのひとつなわけですね。
片山 そうです。各フロアでオープンシステムと繋がるところにゲートウエイを置いて、そこから先はLonWorks※2というプロトコルで動いています。フロアでは空調機をコントロールするDDCと繋ぎ、その数値をとって監視しています。
※1 BACnetは、米国ASHRAEの登録商標です。
※2 Lon Worksは、米国エシェロン社(Echelon Corporation)の登録商標です。
スペースと作業性を考えると、結論はカスケート配線です。
──さて、空調機監視システムの光ネットワークですが、画期的なものとうかがいました。
片山 従来、監視システムの光ネットワークは、スター配線がほとんどでした。それを、今回は幹線にSZ撚テープスロット型ケーブルをひいて、各階で中間後分岐してフロアのケーブルと接続しています。実際は、1箇所の分岐で2フロア分をまかなっていますから、1階おきの分岐ですが。
真田 ただ、新しいのは、あくまで監視システムとしてで、LANの世界では当たり前の構成かもしれません。
──いや、中間後分岐するカスケード配線は、マルチモードファイバではあまり例がありません。住友電工としては、大規模LANのソリューションとして紹介しているのですが、普及はまだまだこれからです。なぜ、今回、LANの世界でも先進的とされる方法を採用したのですか。
EPSに設置された、通過心線+中間後分岐対応光キャビネット[FJB-UB-Z]。幹線ケーブルをスロット無切断で通過できる光キャビネットを開発した。
片山 いちばんの理由は、幹線をひくスペースが限られていたことです。このビルは地上20階建てですので、スター配線だと、2フロアに1本としても、10本のケーブルをひかなければなりません。EPSのケーブルラックは、電気もセキュリティもみんな相乗りで使いますから、場所の取り合いになる。カスケード配線なら、幹線は直径13.5mmのケーブル1本ですみますから、グッと省スペースになります。
真田 それに、スター配線だと、融着接続のときにとった余長ケーブルをグルグル巻きにして、どこかに掛けておくことになります。EPSにはいろいろな業者が立ち入って作業をしますから、余長をぶら下げておくのは恐いですね。中間後分岐なら、余長はキャビネットのなかに収納できますから安心です。
片山 あと、施工時の問題もあります。ビルは下から上につくっていくので、それに合わせて配線も下から上に徐々に延ばしていくわけですが、スター配線だと、上の階のケーブルを全部EPSにドサッと置いておくことになります。これは、他の作業者にとっても迷惑ですよね。
熱源機械室

熱源機械室の制御ユニット。右下に、監視システムと接続するための光キャビネット[CFJB01-U]が見える。

──スペースの問題や、作業性を考えたら、必然的にカスケード配線になったということですね。それと、今回は4心テープ心線を使用していますが。
片山 融着の手間を減らすためですね。今回、8心をフロアに引き込んでいますので。4心テープの一括融着なら、融着ポイントを1/4に減らせます。
──8心のうち、使っているのは何心ですか。
片山 2心です。残りの6心は、何か新しく監視システムを入れるときの予備。プラットフォームをオープンシステムにしているから、こういう冗長構成も可能になります。
真田 実は、冗長構成も、このネットワークの目玉のひとつです。心線に余裕をもたせたのと、幹線を東西に2本立て、その間をフロアでスパンニングツリーにしてループ構成にしています。そうして拡張性や信頼性を高めているのも、監視システムとしては画期的なことだと思います。
空調機監視システムのネットワーク概念図
 
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