| 後藤 たとえば、あるテナントがAというキャリアの線を入れたとします。その後で、別なテナントがBというキャリアにしたいと言い出したら、Aが敷設した管路を使わせてもらえないから、また工事をしなければならない。工事のたびに建物躯体をいじめるわけで、これじゃ大家は怒りますよ。 |
| ──でも、ブロードバンド時代への対応も迫られている。 |
| 後藤 だから、工事が1回で済むためにも、自前の光ネットワークを持つ必要があるんです。しかし問題は、工事費用も大家の自前になる点です。そこで、エレベータシャフトに目をつけたんですね。で、調べたら、法律が立ちはだかっていることが分かった。これは国交省に陳情するしかないと……。 |
| ──確かに、エレベータシャフトは吹き抜けの空間ですから、防火区画を壊す工事もいりません。 |
| 後藤 それに、密閉された空間ですから、改めて配管を入れる必要もなく、光ケーブルを裸で敷設できる。しかも、エレベータの籠がリフトがわりになるから、作業も楽。これは、今回の実験で確かめることができました。テナントの営業を妨げないという条件下での実験でしたので、夜間しか作業できなかったのですが、地上21階、地下2階の工事が、たった2日で完了しましたから。 |
| ──工期が短いというのは、それだけ低コストでできるということですね。 |
| 後藤 そうですね。ただ、エレベータシャフトを使うための制約もあって、シャフトのなかでは分岐作業ができない。分岐盤(光PD)も設置できない。必然的に、スター型の配線になるんですね。スター型なら、シャフトの側壁に小さな穴をあけて、縦のケーブルをそのままフロアに横出しできます。分岐盤は、側壁の裏側に設置します。 |
| ────だから光ブランチケーブルを使った? |
| 後藤 いや、もし階数が少ないビルなら、フロアごとのケーブルを1本1本引けばいいので、必ずしも光ブランチケーブルを選ぶ必要はありません。しかし、中野サンプラザのような高層ビルでは、その方法だと多数のケーブルを引かなければならなくて、現実的じゃない。光ブランチケーブルなら、幹線が1本にまとまるというメリットがあります。 |
| ────今回の実験では、ABFシステムのパイプも敷設しています。 |
| 後藤 ABFシステムも、分岐BOXをシャフトの外に設置できますから、適応するんですね。今回は、将来の拡張のために、空のパイプだけを敷設しました。 |
| ※光ブランチケーブルは、製造元であるトヨクニ電線(株)が提供しました。 |