header_title Optigate
 
  東京都心最大の再開発プロジェクトとして注目を集めている「汐留シオサイト」完成時には就業人口61,000人、居住人口6,000人を擁するこの新しい街に、昨年6月末、汐留メディアタワー(共同通信本社ビル)が竣工しました。情報が“命”の通信社のビルだけあって、生命線となるLAN設備はフルに二重化し、さらに10年先、20年先の需要・技術変化にも対応できるネットワーク設計を行ったといいます。障害を自動的に回避し、将来のシステム変化にも追従するネットワーク。いわばインテリジェントネットワークを全身に装備した地上34階地下4階の超高層ビルは、未来の情報建築がいち早く姿を現したものといえるでしょう。
このインテリジェントネットワークに住友電工の光ケーブルが使われています。最先端のネットワークに最先端のケーブル、話を運びたいところですが、実は、採用のポイントは“納期管理”にあったとか。ネットワーク構築を行ったNTTコミュニケーションズ(株)のプロジェクトマネージャー石塚敦司様は、「大規模なLAN工事の際に重要になるプロジェクトマネジメントを、住友電工さんは助けてくれた」と語ります。こうした大規模LAN構築の際のご苦労や注意点について、設計・施工管理を行った北尊仁様を交えてお聞きしました。
──汐留メディアタワーのLANでは、障害対策をかなり手厚くなさったと聞きましたが。
石塚 はい。通信社の仕事はニュースをメディアに提供することで、いわば情報の製造・卸売り業ですから、通信ネットワークは業務上のライフラインなわけです。それで、フルに二重化、いや、見方によっては四重化と言ってもいいかもしれません。
──四重化?
  具体的に説明しますと、メディアタワーの隣にアネックスがあるのですが、メディアタワーとアネックスそれぞれにMDFを設け、通常はそれぞれのビルのネットワークを別々に束ねています。ところが、もし一方のシステムがダウンしたときは、もう一方のMDFから、ダウンした方のネットワークも自動的に束ねられるようにしています。これが二重化。さらに、メディアタワーの方は基幹業務が集中していますので、幹線を2本通して、LAN自体を二重化しています。この掛け算で四重化というわけです。
──ずいぶん複雑そうですが、どういうネットワーク構成になっているのですか?
石塚 いや、あまり詳しくは話せないのです。守秘義務ということもありますし、我々のノウハウでもありますから。
──そうですか。では質問を変えて、将来の需要変化や技術変化に対応できるネットワークというのは、どういうことでしょう?
石塚 それは、時間的な二重化と言えるかもしれません。
──時間的な二重化?
  はい。具体的に申しますと、1ギガのマルチモード(MM)の配線と平行して、シングルモード(SM)ケーブルをあらかじめ二重に敷設したのです。これからしばらく、実際に使用するのはMMのLANですが、将来は画像・映像系の重いデータが爆発的に増えるでしょうから、そのときは、先行敷設しておいたSMのLANに切り替える。
石塚 5年くらい経つと、SMのネットワーク機器もかなり安価になるでしょう。それならネットワーク全体をSMにリプレースしても採算に乗るだろうという読みがあります。でも、いまはまだSMの機器は高すぎる。通信社としての伝送容量も、いまはまだ1ギガのMMで十分だろうと。
──しかし、今回は10ギガのMMも導入していますよね。
  10ギガのMMを入れたのは一部です。先ほど、メディアタワーとアネックスそれぞれにMDFを設け、通常はそれぞれのビルを別々に束ねていると申しましたが、その2つのMDFを繋ぐ重要回線があるのです。そこはトラフィックが集中しますから、10ギガで繋いだのです。
──すると、現状は1ギガMMで運用し、将来はSMに移行するのが光LANの最適解ということですね。
石塚 いや、今回は、それがベストだったというだけです。MMはたぶん10ギガがたぶん限界です。しかし通信社の場合は、10ギガどころか、将来は100ギガとか、もしかしたらテラ(ギガの1000倍)といった容量が必要になるかもしれません。そのときのためにSMを入れておき、いまは1ギガのMMでやっていこう、このほうがコストパフォーマンス的に最適だったということです。
  SMのネットワーク機器がいずれ安価になるといっても、技術的・原理的に考えてMMより安くなることはないでしょう。一般の会社のLANなら、将来とも100ギガが必要になるとは思えませんので、余裕をもってMMの10ギガを配線しておくというのは、リーズナブルな選択ではないでしょうか。
──さて、配線工事の話に移りますが、今回の案件は、NTTコミュニケーションズ様にとっても、かなり大規模な工事だったのですか?
石塚 そうですね。ビルの規模もそうですが、障害対策のための二重化や、MMとSMの二重化をしていますから、使用したケーブルの長さや融着ポイントの数からすると、近年まれな規模でした。実は、住友電工さんに決めたのは、この規模になると、ケーブルの納品管理が工事の成功を左右するからなんです。
  まず、納期を守れるかどうかが最も大事になります。工事は、ケーブルの敷設班とファイバの融着班、それと融着後の試験班と、3班に分けて、順番に流れ作業でこなしていったのですが、ケーブルの敷設は流れ作業の最初だけに、納期は絶対に守ってもらわないと困る。建築のほうとギリギリのスケジュール調整をしながら、作業段取りを綿密に組んで工事を進めるわけですから。その点、住友電工さんには安心して発注できました。
石塚 プロジェクトマネージャーの立場としては、ピース単位で納品してくれたことが助かりました。それで、工事のトータルコストがずいぶん下げられた。
──ピース単位の納品とトータルコストは、どういう関係にあるのですか?
石塚 たとえば、1000mワンドラムの納品だと、ある階で使って余った分は別の階へ運ばなければなりませんから、上げ下げするのに、そのつど余計に手間がかかります。それを、必要な長さにあらかじめ切って、必要な階まで納品してくれると、作業時間を短縮できます。
北  それと、一気に納品するのではなく、作業の進捗に合わせて小口に分けて入れてくれると、資材置き場にも余裕が生まれます。必要な分だけの納品だと、産廃も減る。産廃処理の経費も大きな負担ですからね。
石塚 納品の対応を柔軟にしてくれると、こうした見えない部分でコストダウンが図れるんです。ただしピース単位で入れるということは、それだけ納品回数が増えるわけですから、管理をしっかりしてもらわないと困る。小口にしたために納期が狂って、建築スケジュールに合わなくなることが起きると最悪です。でも、住友電工さんは納品管理を完璧にこなしてくれて本当に感謝しています。
──身にあまるお言葉、ありがとうございます。ただ、工事の成功は、NTTコミュニケーションズ様が融着の研修会(※)を開いて、技術者のスキルアップに努めたことも大きいのではないでしょうか。
石塚 そうですね。今回は、融着ポイントが膨大で、何班かに分けて同時並行で作業しましたから、スキルの統一は大切です。おかげで融着の不良はほとんでなく、品質管理と同時に、工事スケジュールの管理もしっかりできたと言えますね。
※NTTコミュニケーションズの「配線システム研修会」
http://www.ntt.com/ics-tr/info02.html
  ケーススタディ一覧