接続技術への理解を深め、作業上の注意点を把握して、
より良い光ファイバ接続作業を行いましょう。
光ファイバの接続技術は、永久接続である融着接続およびメカニカルスプライスと、繰り返し着脱が可能なコネクタ接続に分類できます。光コネクタ接続は、光サービスの運用や保守で切り替えが必要な接続点で主に使用され、それ以外の場所では主に永久接続が使用されます。
光ファイバの接続では、光が通るコア部分を対向させ、正しく位置決めすることが必要です。光ファイバの接続損失は主に以下により発生します。
(1)軸ずれ 接続する光ファイバ間の光軸のずれが接続損失の原因になります。汎用 のシングルモードファイバの場合、おおよそ軸ずれ量の二乗に0.2 を乗じた値が接続損失になります。(光源波長1310nm の場合、例:1μ m の軸ずれで約0.2dB) |
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(2)角度ずれ 接続する光ファイバの光軸間の角度ずれにより接続損失が発生します。たとえば、融着接続前の光ファイバカッタでの切断面角度が大きくなると、光ファイバが傾いて接続される場合があるので注意が必要です。 |
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(3)間隙 光ファイバ端面間の間隙により接続損失が発生します。たとえば、メカニ カルスプライス接続で光ファイバの端面が正しく付き合わされていないと、接続損失発生の原因になります。 |
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(4)反射
光ファイバ端面に空隙がある場合は、光ファイバと空気との屈折率の違いにより、最大0.6dB程度の反射による接続損失が発生します。なお、光コネクタでの光ファイバ端面清掃は光断を防止するために重要ですが、光ファイバ端面以外の光コネクタ端面にゴミを挟んでも損失が発生してしまうので、光コネクタ端面全体の清掃をすることが大切です。
融着接続は、電極棒間に発生させた放電の熱を利用して、光ファイバを溶融一体化する接続技術です。融着接続方式は、以下の2種類に分類されます。
(1)コア調心方式 コア調心 光ファイバのコアを顕微鏡で観察し、画像処理によりコアの中心軸が一致するように位置決めを行った後に放電を行う融着接続方式です。2方向観察のカメラを搭載した融着接続機を用い、2方向から位置決めを行います。 |
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(2)固定V溝調心方式 外径調心 高精度なV溝を用いて光ファイバを整列し、光ファイバを溶融させた際の表面張力による調心効果を利用して外径調心を行う融着接続方式です。最近の製造技術の進歩により、光ファイバのコア位置等の寸法精度が高くなっているため、低い損失での接続が可能になっています。本方式は、主に多心一括接続に使用されます。 |
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(1)ファイバ保護スリーブ挿入 ファイバ保護スリーブは、接続点での露出させるファイバの保護のために使用します。ファイバ保護スリーブは後から挿入できないので、忘れずに挿入してください。
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(2)心線被覆除去 ファイバのガラス部分を露出させるために、ジャケットリムーバを用いて被覆除去を行います。
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(3)ファイバ清掃 被覆除去後にアルコールを用いてガラス部分の清掃を行います。
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(4)ファイバ切断 ファイバカッタの操作手順に従い、切断します。
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(5)融着接続 融着接続機の操作手順に従い、融着作業を行います。 |
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<万一、軸ずれが起こってしまったら>
(a)~(c)の原因が考えられます。順に試してください。
(a)被覆除去がきれいにできなかった。
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ジャケットリムーバの刃に被覆屑が残ったまま、被覆除去を行ったためです。標準添付の清掃ブラシで刃についた屑を取り除き、前記(2)の手順に戻り、心線被覆除去からやり直します。 |
(b)融着接続機のクランプやV溝にゴミがついていた。
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(c)上記(a)(b)を行っても軸ずれが起こってしまう場合は、ファイバの清掃が不十分だったことが考えられます。 | |
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前記(2)の手順に戻り、心線被覆除去からやり直します。 |
(6)融着部補強 ファイバ融着部にファイバ保護スリーブを被せ、加熱器上で心線補強を行います。
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